田中明彦さんのC型肝炎インターフェロン治療体験記

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C型肝炎治療記(その4)

田中明彦(仮名)65歳 男

■お酒もタバコも

若い頃は一升瓶を抱え大酒を食らう毎日。中年以降は毎晩のように付き合い酒。晩年には毎日2・3合の一人酒盛。要するに酒浸りの人生でした。このような状態で肝硬変になかったのは不思議なくらいです。

しかしC型肝炎発覚以来、大好きだったお酒を一切口にせず、ひたすら治療に専念してきました。一層のこと、このままお酒をやめようと思いましたが、あいにく私の脳がお酒の味をしっかり記憶しているようです。経過観察が終わり、完治となった折りには「お祝い酒を」と、ひそかにもくろんでいます。ある意味我慢して治療を受け続けられたのも、おいしいお酒が飲みたかったからかもしれません。

しかし、18歳頃から休まず吸い続けてきたタバコにつては簡単にやめることができません。C型肝炎が発覚したとき、お酒と一緒にタバコをもやめようと思いましたが、治療のストレスに耐えながら両方ともやめるのは至難の業です。結局、都合の良い解釈のもと、やめるのはお酒だけにし、タバコはそのまま継続しています。

通院中、クリニック前の喫煙コーナーでタバコを吸っていました。しかし、灰皿には自分が吸ったタバコの吸殻しかなく、みじめな思いをしていました。

以前、大森先生に禁煙の相談を持ちかけたことがあります。それを聞いていた看護師さんが、受付に置いてある「禁煙本」を紹介してくれました。しばらくの間、通院の度にその本を読んでいましたが、本だけでは禁煙に自信が持てません。

大森先生も以前は喫煙者だったとか。よくやめることができたものだと感心しています。治療中、先生に「呼吸が苦しい」と訴えたところ、横にいた看護師さんに「タバコの吸い過ぎ」とからかわれる始末です。ごもっともです。確かに咳は良く出るし、体に良くないことは十分に分かっています。

大きな声では言えませんが、「完治」となった暁にはひそかに「禁煙を…」と思い始めています。果たして、大酒も食らわずタバコも吸わない優良老人になれるでしょうか。


■治療後の経過観察

おおもりクリニックに通い始めたのが63歳。今年で前期高齢者になります。県立美術館や兼六園の入園料も割引になるようです。うれしいのか悲しいのか分かりません。それにしても、前期高齢者だとか後期高齢者だとか嫌な響きですね。しかし、そんな悠長なことを言っているどころではありません。

1カ月目の採血から1週間後、検査結果を聞きにクリニックへ。心の準備をして、恐る恐る「結果はどうでしたか?」と聞くつもりでしたが、診察室に入ったとたん、先生が早口で「☆△。ALT○△、AST×☆…」と、何かを話されています。

何を言われているのか理解できないまま「はあー」と言うのが精一杯です。先生が引き続き「出る人はポーンと出てくるものです」と言われています。…まだ頭が混乱しています。歳をとると神経伝達スピードは相当鈍くなっているようです。

先生がニコニコしながらお話しています。その表情から「あぁー、陰性だったのか」と、ようやく察しがつき一安心です。驚くことにALTは22 IU/dlにまで下がっています。まずは第一段階をクリアしたようです。

 2カ月目の結果です。先生によれば1~2カ月目が勝負のようです。結果を聞くのは楽しみ半分、怖さが半分です。今度は結果をしっかりと聞く準備を整え、いざ診察室に…。結果は1カ月目と同じく陰性でした。少し先が見えてきたようです。

3カ月目、先生から「陰性です」と伝えられました。経過観察期間の半分をなんとか乗り越えたようです。しかし、先生から思わぬお言葉…「これで完治する可能性は80%です」。…なんと、まだ20%ものリスクがあるようです。しかも、一旦下がったALTも2カ月連続で上昇し、しかも順調に回復してきた血小板も大幅に減少しています。自分の中では「90%以上完治」と思い込んでいましたので、80%という値はショックです。次回の検査結果が心配です。

恐る恐る4カ月目の検査を聞きにクリニックへ。待合室には大勢の方が診察を待っています。しばらく順番を待っていましたが、しびれを切らし受付で検査結果だけを頂いて帰ることにしました。クリニックを出るとすぐに検査結果の確認です。うかつにも老眼鏡をどこかに置き忘れてしまい検査結果がよく見えません。目を細めたり、近づけたり、遠ざけたり。どうにか陰性であることだけが確認でき、ひとまず家路に急ぎます。老眼鏡をかけて再確認です。確かに陰性でした。しかし、ALT/ASTは3カ月連続で上昇しています。…いつまで経っても心配なものです。

5カ月目の検査結果、4カ月間連続で上昇し続けてきたALT、ASTが急激に下がっています。また血小板、白血球、赤血球、ヘモグロビン等も順調に回復し、ほぼ基準値に近づいてきたようです。もちろん心配したウィルス検査結果も陰性でした。

こうなるとげんきんなもので、あの強烈だったかゆみもまったく感じなくなってきました。少し余裕が出てきたようです。もちろん今では大好きな温泉も満喫しています。どっぷりと湯ぶねにつかって、「極楽、極楽…」。自然と声が出てしまうのは歳のせいでしょうか。


■喜ぶのはまだ早い?

気になる情報を見つけてしまいました。

「報道等で完治という表現が使われているが、ウィルスが残存しているのに数値が正常というだけで完治とするのはおかしい」。「リバウンド現象(再燃)は1~2年目に多く見られるとの疑問が医師や専門家から指摘されている」。したがって、「現状のインターフェロン効果判定には大きな問題があると言わざるを得ない」と結んでいました。

現在、ペグインターフェロンとリバビリンの併用療法による治療を完了した方々がようやく出始めてきている段階です。このため、その後の長期間の追跡データは少なく、6カ月以降の再燃率については正確につかめていないのが現状のようです。やはり、C型肝炎は相当厄介な病気のようです。

こういう情報を見てしまうとやはり心配です。大森先生に「6カ月目の検査結果が陰性であれば本当に完治したと思って良いのですか」とお聞きしたところ、「1年後、2年後に再燃するのは以前の定量検査(IU)によるもので、タックマン方式ではほとんど大丈夫」、「1・2年後に再燃する例はまれ」とのことでした。


■天国か地獄か

6カ月目の検査結果を聞く日がとうとうやってきました。昨日までの晴天が一変し、あいにくの雨模様です。こういう日は気分も落ち込み、悪い予感さえするものです。別に本日の天候で検査結果を占うつもりはありませんが、できれば晴天であって欲しいものです。

 いつものように看護師さんが忙しそうに仕事をしています。私を見つけて軽く会釈をしてくれました。看護師さんは、私の検査結果を知っているのでしょうか。顔を見ても、とても推し量れるものではありません。しばらく待っていると、「田中さん」と呼ばれ、ドキドキしながら診察室に入ります。

診察室に一歩足を踏み入れたとたん、先生が検査結果を見ながら「治りました、大丈夫です」、「ウィルスが消えています」、「おめでとうございます」とおっしゃいました。私は、その言葉を聞き逃さないように全神経を傾けていましたので、万が一にも聞き逃すはずもありません。しかし、その言葉を聞いたとたん、なぜか頭がパニック状態です。全身の力が抜け落ち、「ありがとうございました」と感謝の気持ちを伝えるだけで精一杯です。

気を取り戻して質問です。「お酒を飲んでも構いませんか」(実はすでに大好きな銘柄のお酒を購入し、いつでも祝杯をあげる準備は整っています)。大森先生は笑いながら「お酒でもなんでも飲んで構いません」…。それを聞いたとたん、私の顔はだらしなくほころんでいます。

ただ、最後に先生から注意事項です。「長い間、(肝臓が)ウィルスによるダメージを受けていたため、癌の出現が怖いです」、「年に1度は超音波などの検査を受けた方がよい」とのことでした。確かに私の肝臓は30年以上もウィルスの攻撃を受け、しかもお酒の量も半端でなかったことから、相当大きなダメージを受けていると思います。もちろん毎年の健康診断の折には、この検査を忘れずに受けようと思っています。



経過観察結果

項目

1ヶ月

2ヵ月 3ヵ月 4ヵ月 5ヵ月 6ヵ月

ALT(IU/dl)

22  25  28  30  21  22 

AST(IU/dl)

25  24  24  29  22  25 

血小板(万平方mm)

14.9  15.8  11.0  16.4  19.4  20.3 

γGTP(IU/dl)

33  26  25  24  28  28 
HCV-RNA定量(LogIU/ml) 1.2未満(増幅反応シグナル:検出せず)





■最後に

一時は半ば諦めていたウィルスとも決別できたようです。現状の治癒率は50~60%と言われている中、私もこの中に入ることができたのは、ただ単に運に恵まれていただけでなく、適切な治療をしていただいた大森先生をはじめ、スタッフの方々のお陰だと感謝しています。

今になって思うことですが、もしも健康診断を受けていなければC型肝炎には気づかず、数年後にはあの世のどちらかに行く羽目になっていたかもしれません。

今回のことで、定期的な健康診断の大切さをあらためて思い知らされました。また、おおもりクリニックでのインターフェロン治療を機会に、これまで怖くて敬遠してきた胃カメラも初めて体験しましたが、痛くもかゆくもなく驚くほど簡単に受検できました。これならば毎年健康診断を受けることができそうです。

近いうちに高野山にお礼を兼ねお参りに行こうと思っていますが、現在治療中の方々の完治についてもお祈りしてきたいと思っています。

 最後に今一度、大森先生を始めスタッフの皆様に感謝申し上げると共に、この記録を読んで応援してくださった皆様に感謝します。そして、私自身、お酒は程々に、禁煙についてもできるだけ努力したいと思っています。                    (完)


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